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BTドレスさん版「独り」用書き下ろし

BTドレスさん版「独り」用書き下ろし
※BTドレスさんが「独り」をコミカライズして下さった際、
2話の後書きでジャンクスと忍が自分の出番をせがんでいたので、
本当に追加してみました!(笑)


・3(ミーナパート)の前か、後
※前の場合は夜、後の場合は時間帯はいつでも不自然にならないと思います。



 カイザー達が複雑な思いで過ごすこの星に、
複雑な関係を持ったふたりも人知れず、降り立っていた。
ひとりは低金利の金貸しの広告につられ。
もうひとりは、この星の政治の裏で進む「計画」を
円滑に進めるために雇われたシノビとして。


 「トイチよりたちが悪いじゃねーかっ!」
バンダナをつけた長髪の男、ジャンクスは
薄暗い路地裏で、店の中に怒鳴りつけた後、サウスストリートを歩いていく。
「やっぱりアンドロメダに頼むか……?」
呟いたのち、
「いや、アンドロメダはダメだ……」
がっくりと肩を落とす。
彼女(?)から金を借りようとすると、
熱烈に求婚されることを思い出し、ジャンクスは借金を諦めた。


「働くかー…働くしかねぇかー……。短期で割のいいバイトはねぇかな……」
ぶつぶつ呟いていると、後ろからマイクを差し出される。
ジャンクスは慌てて振り返った。

視界に飛び込んできたのは、
まだ初々しい印象の黒のストレートのロングヘアの女記者と
銀河TVの女カメラマンだ。
キャスターの「報道」と書かれた腕章が輝いて見える。新人なのだろう。

「…………」
「…………」
しかし、記者は顔を真っ赤にして硬直しており、質問してこない。
緊張しているのだろうか?
「ご苦労さん。記者さんが、何の用?」
可愛いなと思ったジャンクスは、若い女記者の頬をつついてみた。
「……はっ! 申し訳ありません、私ったら。
 …大統領選挙が近づいて参りましたが、
 貴方はこの星の政治について、どうお考えですかっ!?」
ストレートヘア記者は、つつかれた頬を触りながら質問してくる。
目を背けているのは、ミスが恥ずかしかったからなのだろうか?
「すまん、俺は退治屋だ。旅行者と一緒で、詳しいことは知らん」
「はぁ……そうですか」
そうですか、と返答している割には、最初から納得しているような顔もしている。
この少女記者は何者だろうか。
……まぁ、そんなことはどうでもいい。
「お前、俺の知ってる子とどこか似――」
ジャンクスがいいかけたところで、カメラマンがジャンクスを豪快に蹴り飛ばす。

「セクハラ退散!!ほら、次行くよ次!」
「はいっ、それでは失礼しますっ!その…本当に失礼しましたっ!」
慌ただしい記者達は、南へと走っていった。

「夜遅くまで、大変だねぇ」
ジャンクスは蹴られた部分をさすりながらにやりと笑うと、北へと歩き出す。
次の星へ行くための、燃料費を稼ぐバイトを探すために。

---
※BTドレスさんはこの手の絵面が非常に面白いので
どんな風にどこを蹴ったかは敢えて指定しませんね(笑)。
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***

 「あうぅ~、こんなところで会ってしまうなんて~!」
記者の姿に扮した忍が、走りながら顔を真っ赤にして呟く。
「任務中には何があるか分からないって教えたろ。
 もう油断しちゃダメだからね?」
女カメラマンは、忍の姉弟子、月影だった。



・4(最終話)の後のおまけシーンとして

 忍は退治屋の友人と会うときに来ている装束に着替えると、
長い髪を高い場所で結い、ポニーテールにする。
「ちょっと、そんな格好をしてどこ行くんだい?任務はもう終わったよ」
忍の後ろから音もなく現れ、止めるのは月影だ。
「どうせ、しばらくはこの星に缶詰です。退治屋の友人に会ってきます!」
「退治屋の…って、あのオヤジ!?ほんっと好きだねアンタ」
「大好きなんです!」
満面の笑みで、忍は船から下り、走って行く。
「あんなのが相手ってのはどうかと思うけど……青春するのは良きことかな。
 恋をしなよ、忍。恋の記憶はいずれ、くノ一の武器になる」
不敵な笑みを浮かべると、月影は船の中に戻っていった。
「素直なのが、あんたの良いところさ」


忍達の任務は、この星の「ふたりの」次期大統領候補の暗殺計画の片方の阻止だった。
どちらの計画を潰すかは、師に「己の目で見て決めろ」と告げられたため
自分たちで情報を集め、自分たちの判断で片方の計画を潰した。
決戦の夜、命のやりとりがあったことは説明するまでも無い。

どちらの候補にも既に暗殺者が放たれていたため
ふたりともが死んでしまえば、この星は混乱に陥ってしまう。
それを未然に防げというのが、師の命令だった。


 「ジャンクス殿~!」
「おわっ!?」
バイトチラシを抱え込んでいたジャンクスは、後ろから抱きつかれて
チラシを盛大にばらまいてしまった。
「さっき、ちらっと姿を見かけましたので!
 ジャンクス殿も、この星に缶詰なのですね。私とどこかに出かけませんかっ!
 せ、折角ですし!宇宙(そと)にも行けませんし!!」
「忍……」
ジャンクスは忍の顔を、しばらく、じーっと見つめる。
「ジャ、ジャ、ジャンクス殿!?」
忍の顔はどんどん赤くなっていく。
「人違いか……。そもそも、お前だったら今みたいにドーンと来るしな、ドーンと」
ケラケラ笑いながら、ジャンクスはばらまいてしまったチラシを指さす。
「あううううう!!申し訳ありません、申し訳ありません~!」
ジャンクスと一緒に、チラシを拾う忍。
「ちょーっと豪遊してみたらこの有様よ。ちゃんとバイトが見つかるといいんだが」
バンダナを締め直しながら、ジャンクスが言う。
「……あ、これなんてどうですか?
 バイトチラシに偽装している、リブフリーに依頼しない蟲退治の依頼ですよ。
 きっと危ない依頼ですね。だってこんなに報酬が高い」
「俺はリブフリーのブルーマスターの退治屋だっ!速攻で闇ルート勧めんな!!
 まったく、そういうところはしっかりシノビだな」
退治屋を名乗る者の7割がリブフリーの傘下、
残る3割はリブフリー社に所属しない野良の退治屋と言われている。

「あはは……やっぱりダメでしたか。これなら一緒にバイトできると思ったんですが」
「……ん?」
「いいえ、何でもありません」
忍は幸せそうな顔で、ジャンクスに次のバイトを勧める。
ジャンクスは、無事燃料費を稼ぐことができるのだろうか?

(おしまい)



・本当におまけ
ロゼッタがバーで仕事をしたら、すぐにお金は貯まったらしい…。

(おしまい)

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※こんな感じで如何でしょう!?(笑)


2016.3.19.

  by bluecastle2 | 2016-03-19 01:26 | 独り【退治屋】

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